提案合戦|関西空港駐車場等の整備

「新空港問題はこれまでの情報交換や調査、研究の段階は終わった。具体的なターゲットを絞り、受注のため、グループを越え、最も望ましく、また強力な体制づくりが必要となってきた」(ある企業の空港担当者)というように、経済界の動きは、第一次答申以降、それまでの、いわば「新空港問題を考える」といったきれいごとから、具体的な受注を目指したものへと大きく変化したのである。関空は関西空港駐車場と共に変化の連続であった。

それだけに経済界が、大きな関心を示したのが、新空港と駐車場の建設工法であった。というのも第一次答申では、①埋め立て工法②干拓工法③桟橋工法④浮体工法の四工法について検討はされていたが、最終的にどの工法で建設するのかの結論は出していなかったからである。どの工法が採用されるのか、によって経済界としてのアプローチの仕方も自ずと異なってくるためである。

まず、動き出したのが、土木・娃設業界であり、造船、重機械業界であった。海上埋立土砂建設業協会が組繊した関西国際空港調査会による「埋め立て方式による海上空港の建設工法」の提案もその一例である。

また大手企業では、例えば三菱m工業が「新しい海上埋め立てシステムエ法」を、また川崎

重工業が富士電機製造などの協力を得て「埋め立て土砂輸送総合管理システム」をそれぞれ開発、提案するといったように個別の建設機械や作業船を売り込むといったことではなく、一連の海上埋め立て土エシステムを開発、提案するという形で、アプローチしていることも注目される。

いま一つ特筆すべき動きといえば、日本造船工業会が深刻の度を深める造船不況対策の一つとして「浮体構造方式による関西新空港の建設」を打ち出し、埋め立て工法に対する巻き返しに出たこともいまだに記憶に残るものである。

同じように主要企業集団や数多くの企業が新空港や駐車場に関連する技術、システムを開発し、また周辺地域整備などについて提案をしているが、そのいくつかを挙げてみよう。

新日本製鉄、住友金属工業、日本鋼管の鉄鋼メーカーと三菱重工業、川崎重工業、神戸製鋼所、新潟鉄工所、富士車輛の新交通システムメーカー、それに住友商事の九社による「新交通システムを利用した土砂輸送システム」の開発。三菱グループによる「生鮮食料総合供給センター」の企業化調査。日立造船、大林組、南海電気鉄道、神戸製鋼所、東洋建設、東洋情報システムの三和グループ六社による「関西新空港と近畿圏の地域整備に関するデータバンク」。伊藤忠商事、川崎重工業など第一勧銀グループニ十二社による「医療・福祉コミュニティ構想」―といったものである。

一方、関西空港問題と周辺地域駐車場整備のあり方などについて、技術的、科学的な立場から総合的に研究していくという活動に乗り出したのが、大阪科学技術センターである。研究活動母体として組織された関西新国際空港調査部会には学識経験者をはじめ経済界からは主要企業集団や業界団体の枠を越え、多くの企業が参加した。

「関西空港立地による紀泉地域の基盤整備」「新空港を含む駐車場総合供給処理と資源リサイクルシステム」「アクセス交通手段のあり方」「新空港を核とした生鮮食料供給基地構想」「周辺地域整備ともからめた空港施設分離方式の提案」「関西空港がおよぽす文化・産業への影響」など、広範な調査、研究に取り組んできたが、こうした新空港問題への取り組み成果を集約したといえるものが、「関西国際空港建設技術検討調査報告書」である。これは企業が持つ新空港に関連する技術の現状や課題、さらには新技術の開発動向などを体系的、総括的にまとめたもので、関西空港や駐車場の建設にあたり、賚重な技術資料になったものといえる。